5.  「あ、そうそう、これ、これこれ!!!」

なんだかこのままだまってたら、すごーーーく嫌な空気が流れそうで
わたしはおもむろに大きな声を出してみた

「はい、これ、クリスマスプレゼント!」
「お前、プレゼントはツリーの下に置くのが決まりなんだぞ」
「でももうサンタクロースなんて、信じていないでしょう?」

はやくはやく、開けてみて!とせがむ

「でっでで〜〜〜〜〜〜ん♪」
「うるさいぞ酔っ払い!」

ドラコが箱を開けると同時に思いっきり効果音をつけてやった。

「どうせルシウスの息子のことだから、黒いものばかり着るんでしょ?」

箱の中身はカフスボタンとネクタイピン

「入学祝いも兼ねてあげるわ」
「あ、ありがとう」
「あら、やけに素直ね」
「うるさいなぁ」
「これからオフィシャルな予定がどんどん増えるわよ〜〜〜」

ドラコをちょいちょいと小突き、瓶の中のワインをグビッと一気に飲み干す。

飲みすぎじゃ…」
「わたしはさーーマルフォイさん家のパーティーがだいすきなの!なぜなら―」
「美味しいワインが飲めるから、だろ」



ドラコが開けかけたワインをひょい、と取り上げるルシウス



「飲み過ぎだ、
「親子してうるさいなーーもう!」
「父上、これは僕がに注いでしまったからで…」
「ドラコ、もうお前は寝る時間だ」
「父上、でも「でもじゃない、寝るんだ」」
「ルシウスもうるさいオジサンになったのねーーー」

けらけらと笑っていると、ルシウスが深いため息をついて私を担ぎあげ、部屋まで連行する

「ぎゃーーードラコーーーーーーたすけ…」














「てっ!」

ぼふっと音がして、私はベッドに投げ飛ばされる

「寝てろ」
「ルシウスくん、コルセット、外して、苦しい」
「え、ちょ、おま、え、え、え、うぇ、」
「なーーーんてね」

クスクス笑う私に青筋を立てるルシウス

「うそよ、ちょっとからかってみただけ!ごめん、ごめんってば!」
「お前…」
「おっけーおっけーごめんねーー寝ます、わたし、寝ます!おやすみ!」


バタン、とドアを閉めて、ドアに耳を当てる
ルシウスの足音がどんどん遠ざかって行き、聞こえなくなったのを確認して、
そろり、と私は部屋を抜け出し、ドラコの部屋に飛び込んだ



「うっわ、!」
「ひひひ、ルシウスから逃げてきた!」

ドラコは完全就寝モードのようで、ガウンをはおりながら私を部屋へ入れた。
ドラコもまだ話したりなかったようで、意外と乗り気だったのが嬉しかった私は、
杖を一振り、お菓子と飲み物を取りだし、夜中まで宴を続けたのだった。



翌朝、なかなか起きないドラコを起こしに来たナルシッサが、
ドレスのままドラコの部屋の暖炉前のソファで寝ている私と、
そのソファを枕にして床で寝ているドラコを見て呆れたことは言うまでもない。









ドラコがホグワーツに帰る日、私もナルシッサと一緒にルシウスとドラコを見送ることにした。

「勉強、がんばるのよ」
「わかってるよ」
「あと、あんまり人にちょっかい出さないこと」
「わかってるって」

ドラコはコートをはおりながらだるそうに返事をする

「それじゃ、また夏休暇にね」
いってらっしゃい、と言うとドラコは少しほほ笑んで「じゃあ」と言った。



ルシウスとドラコが行ったあと、私は自分の荷物を1階へ運び、出発前にナルシッサとお茶をする。



「あなた、この休暇中ずいぶんとドラコと仲良くなったわねぇ」
「そうかなぁ?ドラコってば、全然私を年上として扱わないのよ!」
「良いじゃない、その方が気楽で」
「まぁそう言われてみればそうかも…」

ナルシッサのいれてくれたお茶はほんのり甘くてすごくおいしかった。

「それじゃ、シシー、行ってくるわ。」
「気をつけてね」
「また夏休暇にお邪魔しにきまぁす!」


パチン、という音とともに私はマルフォイ邸を後にした。












ホグワーツに戻り、ドラコにクリスマスパーティーの件を謝ると
「いいよ」とか「気にするな」の言葉の代わりに

「君が送ってくれたケーキ、美味しかった」とかかわいいことを言うもんだから、
ついつい私はこの休暇中のくせでドラコの頭をぐしゃぐしゃしてしまいそうになり、
慌てて手を引っ込めたのだった。




 




2010.1.4 shelly